モンティ・ホール問題を世界で最も直感的に説明する気で書いてみる

 「プログラミングのための確率統計」という本がある。この「プログラミングのための」シリーズはなかなか良いシリーズなので買っているのだが、この本の冒頭に出てきたモンティ・ホール問題の説明があまり良いと思わなかったので、自分なりに言い変えてみる。

  • モンティ・ホール問題とは
    • 扉A、B、Cがあり、どれか1つにアタリがあり、ほか2つはハズレ。
    • プレイヤーがどれか1つを選択し(この時点では開かない)、その直後に司会者があえてハズレの扉を一つ開き、プレイヤーに選択し直すかどうか聞く。
    • 上記条件で選びなおすのと選び直さないのではどちらがアタリを引く確率が高いか? という問題。
  • よくある勘違い(かどうかは厳密にはわからんが)
    • 司会者がハズレの扉を1つ教えてくれたから、選択肢が2つになり、選びなおしても選び直さなくても確率は1/2で同じ。だから選びなおす意味は無い。
  • プログラミングのための確率統計での説明
    • もし最初の選択がアタリだった場合、選び直すと必ずハズレになる。
    • もし最初の選択がハズレだった場合、選びなおすと必ずアタリになる。
    • ということは、「最初の選択がハズレの確率」がそのまま、「選びなおすことにした時のアタリの確率」だ。よって選びなおすと2/3の確率でアタリになる。

 この説明は説明不足であり紛らわしい書き方だと個人的には思う。

  • 俺説明
    • 司会者がハズレの扉を教えてくれた時点で、自分がハズレの扉を引いている確率が2/3なので、アタリを引いている確率1/3より高い。だから変更したほうが安全。
  • さらに大雑把な俺説明
    • アタリの数よりハズレの数のほうが多いんだから、数で言ったらハズレ引いてると考えたほうがいいよね。だから変更する。

 つまり、司会者によって開かれた扉を母集団から外してしまうと勘違いということになり、開かれた扉を母集団に含んだまま計算すれば勘違いしないことになる
 ただ個人的には、この問題自体があえて紛らわしく作られているだけの、詭弁的且つひっかけ問題のような問題であると思う。そもそも、扉が司会者によって開けられた時点で、最初の三択とは前提条件が完全に異なっており、最初のハズレの確率2/3を最後まで適用するのはおかしい問題でもあると個人的には思う。尚且つ、開かれた扉を回答する際にどう扱うかという条件が問題には記述されていない。なので、司会者によって扉が開かれた後を二択の問題と認識するのは無理がないだろう。確かに、「1つハズレを見せられた後にどう考えますか?」という文脈から考えるのであれば、ハズレを引く確率のほうが高いから選びなおすという文脈にもって行きやすいが、所詮確率なので1つハズレを見せられた後に、残された2つから選ぶという感覚で考えるのも「実際」間違っているとも思えない。
 与えられた問題の条件に沿って、数学の確率の作法に従って答えを出すなら上記のようになるのだろうが、直感とは程遠いものである。確率は未来を予言するものではないわけだが、それをモンティ・ホール問題のような現実味の有る現象に当てはめているため、ジレンマが起きる。
 Wikipediaではこれをジレンマやパラドックスなどと称しているが、考え方と哲学の問題でしかない気がするのは私だけだろうか。